ネットオークションで失敗 その2

前回のお話
http://nakaiyuhi.blogspot.jp/2015/01/blog-post_13.html

とにかく落ち着こう。

しっかりオークションをしていない以上、一生懸命出品した意味がない。もう一度、出品し直したい。

落札者の人には悪いが、ここはキャンセルしよう。

取り急ぎ、落札者あてのメッセージに、「キャンセルさせてください。オークション初心者なもので。なんか間違ったみたいです。てへへ。すみません」という旨を書いて、送った。

でも、キャンセルの仕方も何もわからないのだ。

急いで調べる。

どうやら、既に入金があった場合、キャンセルはできないようだ。

できないというか、商品を送らなければ、自動的にキャンセルになるらしい。その場合、出品者に悪い評価がつき、落札額の数パーセントのペナルティーを支払わなければならないという。

そうか、それで落札した人はキャンセルできないように、すぐに入金してきたのか。……手練れだな。

さて、どうしたらいいのかなと、いろいろパソコンを検索していると、質問サイトでちょうど、同じような失敗をした人が、どうするべきかと質問しているのを発見した。

「間違って、オークション形式ではなく、即決価格で出品し、本来もっと高値がつくはずの物が100円で落札されてしまいました。どうしたらいいでしょう」

みたいな感じの質問である。

それに対して

「もし、オークションにかけて、あなたが設定した最低金額のまま上がらずにその値段で落札されていてもキャンセルするのですか? 値段が上がるものと勝手に期待して、その通りにならないからとキャンセルするなんて身勝手です。その値段では売れないなら、その最低金額を設定したことが間違いなのです。その値段で売るべきです」

みたいな意見があった。「なるほど、そういう意見もあるのか」とは思ったが、同時に「それは違うな」と思った。



僕がオークションを選択したのは、お金のこともあるが、それだけの問題ではないのである。金額が12000円だからキャンセルしたいわけではないのである。

例えば、僕に大好きな人がいて、その人が「iPad使ってないの? じゃあ安く売ってよ」と言ってきたら、僕は「お金なんていいよ」と言ってタダであげてもいいのである。その人が喜んでくれるなら、お金なんていらない。

友人でも、そんなに親しくなければ「じゃあ一万円でいいよ」となるし、まあ、とにかく自分の中で納得いく形でiPadを手放したいのである。

とりあえず譲る友達もいないし、お金に変えるのが最善だと思ってオークションを使うことにしたのである。見知らぬ人に譲るのだから、「一万円でいいよ」とはならない。じゃあ、いくらだろう? ……それを自動的に決めてくれるのがオークションというシステムだろう。一番ありがたがってくれる人、喜んでくれる人にできれば譲りたい。それは誰だろう?……それは一番高く買ってくれる人だ。それがオークションというシステムだろう。

元来オークションというのは、売り手、買い手が共に納得して物を売り買いするためのシステムだと思う。絵画でも何でも、大切なものを譲るとき、価値の分からない人に譲りたくない、ふさわしい相手に譲りたい。単にお金儲けというだけでなく、その相手を決めるという側面があるものだと思う。誰が一番それを必要としているか、愛しているか客観的に見極めて、その人にもらって欲しい。その手段として「一番高い値段を付けた人」を、それを最も欲しがっている人とみなそうというコンセプトがあると思う。

だから僕もオークションをきちんと行った上でついた値段が12000円なら、納得して売ることが出来た。それなら、それくらいの価値のものだったんだと、納得できる。でも今回はたまたま早く見つけた人が競ることなく落札してしまった。それでは僕は納得してiPadとお別れできないのである。

オークションでお金は確かに重要である。中古ショップに売るよりも高く売れるだろうというのが、僕にとって主要な動機だったことも否定しない。でも金額の大小だけの問題ではないのである。

加えて、僕は今回ネットオークションが初めてで、出品したものの値段が少しずつ上がっていく感じを味わいたいみたいなこと(経験)も期待していたと思う。こういった期待がすべてふいになり、僕がもっともオークションに求めた「納得」が得られなかった。だから、キャンセルしたいと思った。

質問サイトにあった意見は、一見正しく聞こえるけど、そういう気持ちのことを無視した意見である。オークションのお金のためという側面だけを見た意見だと思う。「決まりで」とか「法的に」とかいうのならともかく、その理由でキャンセルするべきでないというのは間違いだと思った。

一番重要なのは「納得」である。オークションに限ったことではないけど、納得いかない取引はするべきではないと思う。そんなことをしたら、大切なものを無くすことになる。「大切なもの」それは、自分の意見、意思、気持ち、誇り、立場……総じて言えば「自分」をである。

ミスをしたのは自分の責任だし、キャンセルするのは自分勝手なのは確かだろうが、だからといって、自分の気持ちを偽り、イヤイヤ取引をするのは自分にも相手にも不誠実である。不誠実に生きると、何を手に入れても心から喜べない、人のことばかり羨ましくなる、自分をよく見せることばかりに力を注いでしまう。

たとえ評価が落ちようと、自分勝手と思われようと、自分を偽らず、やりたいことをやる人でありたいのである。そして、他人に対しても、同じだけの権利を認め、同様のミスに対して寛大でありたい。

もちろん場合によっては、納得いかない条件を受け入れなければならないときもあるだろう。そんなときは、「納得いかない条件を飲んだ」ということをごまかしたり、取り繕ってはいけない。「これでよかった」「これが正しかった」などと、無理に納得させてはいけない。だけど、受けると決めたからには気持ちを切り替えてきちんとやるべきなのである。そのあとで、それを受けざるを得なかった自分の弱さを見つめ、今後の対策を考えればいい。



そんなわけで、もし今後、僕と同じミスを犯す人がいたら、質問サイトにあるような意見に惑わされず、自分の納得いく選択をしてほしいとアドバイスしたい。オークションを利用する目的は人それぞれ違うので、自分の目的に合った最良の選択を……。

結局、僕はそのままキャンセルが成立するまで何もしないことにした。そして、ほとぼりが冷めて、気持ちが落ち着いてから、また出品し直すことにした。

楽天オークションだと、評価が悪くなっているし、縁起も悪いので、ヤフオクで出品することにした。

プレミアム会員費がかかってしまうけど、会員になると1230ポイントのTポイントがもらえるキャンペーン中だったので、それほど損害はないだろう、いつでも退会できるし。

なんとなく出品の際の写真も撮り直した。同じ写真を使って「あ、楽天で失敗したやつだ」と気付かれたら困るなとか、いらぬ心配をしてしまうのである。

年が明けて、今月の中旬頃、ヤフオクで出品したiPad miniは最終的に、18500円で売れた。とりあえず一安心。

とはいえ、ヤフオクの出品方法もいろいろ調べ直す必要があったし、発送方法やら送料やら、振り込み方法やら調べなきゃいけないし、慣れないことだらけで、なんだかとても疲れた。最初の失敗があったせいで、徒労感が強く、すっきり満足とはいかなかった。

ネットオークションは面倒だった。しばらくは使わないだろう。売るものもないし。

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